東京は浅草の田原町駅よりほど近い場所に古いたばこ屋を改修して出来上がった酒場「シノノメ酒店」がある。入り口を入ると大きなショーケースが並び、たくさんのお酒が迎える小売り&角打ちの店だ。
一棟で契約しており、その酒店の2階と3階をコワーキングスペースにしたい、というのが今回のプロジェクトである。

費用を抑えるために、移転予定だったmagnecto.事務所から大量の資材を運び込んで、壁面の漆喰塗りなど施主参加型の工事を行なった。いろいろな材料が使われているのはそのためだが、結果としていい雰囲気でまとまったように思う。現場で出た廃材を照明に転用したり、変なことを色々試したりしている。天板の仕上げには養生板を敷き、汚れればページを捲るように板を張り替えるというつもり。
特に建築的に難しいことはしていないし、目を瞑ったところもたくさんあるが、だがそれでいい、という感じの現場でライブ感もって取り組むことができた。(見る人が見れば、これあの案件のあれだよね、というものが見つかるかもしれない)

なぜここにコワーキングスペース、というのは話せば長い。
私たちがはじめて浅草に拠点を作ったのが2016年11月1日、アイデア家業という会社を立ち上げた頃のことであった。まず飲食店を手掛けたわけだが、飲食店をきっかけに様々な暮らしの機能を街の中に設けていって、自分たちなりのコミュニティデザインに取り組んでいく、そんな想いのもとで、活動が始まった(当時のプレスリリースが残っていたので貼っておく)。
いろんな面白いことをどんどん仕掛けていく、という気概が萎んでいったのか、はたまた実力の問題か、兎に角この会社は道半ばで結局解散に至る。そしてその初めての店舗「ほしや」を含め、パートナーであった佐藤氏に譲り渡して、magnecto.ががひとりぼっちで始動する訳だが、彼の率いる株式会社フーテンは今や浅草エリアで飲食店6店舗を運営する企業となった。
ただ、前談の「飲食店をきっかけに様々な暮らしの機能を街の中に設けていって、自分たちなりのコミュニティデザインに取り組んでいく」という想いは彼の中で生き続けているように思う。今回、酒店の上階2フロアをワークスペースとしてコミュニティに開くことにしたのもその流れであろう。おそらく、これからもいろいろな暮らしの機能を街に仕掛けていくのだろう。この想いはmagnecto.にとっても命題の一つであり、コワーキングスペースというのは私の原点であり専門だ。この「シノノメ荘」の成り立ちに微力を尽くせたことは、とても良かった。と誰も気づかなそうなここにそっと記しておく。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です